摂食障害について
摂食障害とは?

食の問題に見えて、その奥には“こころの叫び”があります
摂食障害とは、食事の摂り方に強いこだわりや不安を感じ、心身のバランスが崩れてしまう状態を指します。
拒食(ほとんど食べられない)、過食(大量に食べてしまう)、過食嘔吐(食べたあと吐いてしまう)など、そのあらわれ方は人それぞれです。
単なる「食べ方のクセ」や「意志の弱さ」ではなく、背景には、自己否定・人間関係・生きづらさ・プレッシャーなど、さまざまなこころの要因が関係しています。
一見ふつうに見える方でも、心の中で激しい葛藤を抱えていることが少なくありません。
そして、周囲の理解が得られにくいからこそ、長く一人で悩み続けてしまうこともあります。
日本と海外での対応の違い
摂食障害への対応は、国によって大きく異なります。
たとえば欧米の一部の国では、心の問題に早くから目を向け、医療と心理の支援を連携して行う仕組みが整えられています。

学校教育や福祉制度の中でも、「食」に関する悩みやストレスに対するサポートが日常的に行われ、「症状が出る前の予防」「社会復帰後のフォローアップ」まで見据えた体制が取られています。
一方で日本では、摂食障害はまだまだ「甘え」「意志の問題」と誤解されることがあり、本人が長期間、孤立したまま悩み続けてしまうケースも少なくありません。
必要なサポートが受けられずにいる方がたくさんいる現状だからこそ、医療だけでなく、“安心して話せる場所”の存在がとても大切だと感じています。
医療制度ではどうみられるのか
摂食障害は、医学的には「精神疾患」として分類されており、心療内科や精神科での診断や治療の対象となっています。
拒食症(神経性やせ症)、過食症(神経性過食症)など、明確な診断名がつくこともあります。
ただし、診断名があるから正しく支援されるわけでもなく、診断がないからといって苦しみが軽いというわけでもありません。
実際には、医療機関での対応や専門性にばらつきがあり、適切な支援にたどりつけない方が多いのが現状です。
摂食障害は、身体の症状だけでなく、背景にある生きづらさや人間関係、自己否定の感情などが深く関係しています。
そのため、薬や診断だけでなく、「話せる場所」や「理解してくれる人」との出会いが回復のきっかけになることも少なくありません。
医療と並行して、カウンセリングや福祉的な支援を組み合わせながら、その人に合った方法で心と向き合っていくことがとても大切です。
どれくらいの人が
摂食障害で悩んでいる?
“見えづらい”からこそ、気づかれないまま苦しんでいる人がたくさんいます

摂食障害は、見た目や日常の会話だけでは気づかれにくいことが多いため、表に出づらい「こころの病」とも言われています。
厚生労働省の調査によれば、日本ではおよそ数十万人規模の方が摂食障害を抱えていると推計されており、10代〜30代の女性に多く見られる一方で、最近では男性や高齢者の患者も増加傾向にあります。
ただし、実際に治療を受けているのはそのごく一部にとどまり、多くの方が「自分はまだ相談するほどではない」と思い込み、孤立したまま長い年月を過ごしてしまうケースも少なくありません。
「誰にも言えない」「理解されない」と感じるその思いこそ、支援を必要としているサインです。
自分だけじゃないということを、まずは知っていただけたら嬉しく思います。
こんなことで悩んでいませんか?
- 食べすぎてしまって自己嫌悪になる
- 食事のことで頭がいっぱいになってしまう
- 周りと一緒にご飯を食べるのが苦手
- 食べたあと、吐いてしまいたくなる衝動がある
- 体重の数字に強くこだわってしまう
- 食べなければ「安心」できる気がする
- 誰にも話せず、ずっとひとりで抱えている
- 痩せていないといけないと強く思い込んでしまう
これらは、摂食障害のサインかもしれません。そして、こうした悩みを抱える人は、実はたくさんいます。
クレプトマニアについて
クレプトマニアとは、現在では行動嗜癖(しへき)に分類され、経済的な理由以外で衝動的に窃盗行為を繰り返してしまう状態をいいます。摂食障害では過食嘔吐と合併することが多く見られます。この行為をしてはいけないことと理解していながらも強い衝動にかられて窃盗行為を行ってしまい、逮捕されるケースも多く存在しています。
その理由として考えられるのが、過食嘔吐にかかる金銭的な負担による不安から逃れたい一心でる場合や、過食衝動が突然生じて発作的に行ってしまうなど、本人や他者にもわからない理由からその行為に及ぶと考えられています。
確かに窃盗(人の物を盗る)ことは法律的には犯罪ですが、その背景に摂食障害という自分ではコントロールできない理由があるのだとしたら、それは果たして単なる犯罪と言えるのでしょうか。福祉的な目線では、背景に障害が考えられる軽犯罪については更生することが望ましいと捉え、精神保健福祉士や社会福祉士が弁護士と協働して行う入口支援と呼ばれる「更生支援計画書」の作成を行っています。当サロンのクライエントが万が一こういった状況に追い込まれた際には、当サロンで更生支援計画書を作成し、その窃盗が障害や疾患によるものであり、治療が必要なため法で裁くことはせずに社会内で更生できるように司法にはたらきかけます。
“治す”のではなく、
“自分と向き合っていく”ために
摂食障害の治療は、身体のケアだけでなく、こころと環境のバランスを整えることがとても大切です。主な治療法には、以下のようなものがあります。
心理カウンセリング
自分の気持ちを言葉にし、心の奥にある不安や自己否定の感情に気づいていくプロセスです。
当サロンでは、「治す」ことを目的にするのではなく、“今の自分と、どう付き合っていけるか”を一緒に考えるカウンセリングを行っています。
環境の調整
学校、職場、家庭、人間関係など、症状に影響を与える周囲の環境に目を向け、少しずつ整えていくことも大切です。
家族の理解や協力も、回復への大きな力になります。
医療機関での対応
心療内科や精神科では、栄養管理・体重管理・必要に応じた薬物療法が行われます。
身体への負担が大きい場合には、入院が必要となることもあります。
摂食障害は、必ずしも「完全に治る」ことだけがゴールではありません。自分の心と、無理のない形で向き合いながら暮らしていけるようになること。
それが、あなたにとっての回復のかたちだと、私たちは考えています。