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アルコール関連障害について②

皆様こんばんは。

先日よりアルコール関連についてお伝えしています。
前回はアルコール摂取の背景やアルコールの文化的な役割、酩酊(酔い)の状態について概観しました。

近年よく耳にする「アルコール依存性」ですが(依存性という表現が苦手なので以下アディクションと表現します)、この状態を「診断」して医師から告げられる場合にも、DSM5(アメリカ精神医学会作成した精神疾患診断マニュアル世界共通)によって診断されます。

ではこのDNM5でアルコールのアディクションが明らかであると客観的に診断されるにはどのような状態である事が必要なのでしょうか。

①摂取したいという強い欲望があるいは切迫感
②摂取行動を統制する事が困難
③離脱症状の出現
④使用量を増やさなければならない耐性の出現
⑤摂取せざるを得ない時間や、効果からの回復に時間がかかる
⑥明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず依然として使用やめられない。

上記の①から⑥のうち、3つを満たしていれば例え③の離脱症状の出現や④の耐性がなくても、医療ではアルコール依存性と診断しています。(予防的な観点もあるとは思いますが、他の理由もありますので後ほどお伝え致します)

ですので、アルコールに対する強い渇望と探索行動があれば依存性(アディクション)となります。(医療で診断されなければ依存性ではありません)医療制度では、個人の詳細は一旦置いておいて、あくまでも診断マニュアルに沿って診断します。

ですが、使用されている方も、飲酒する事で精神的な緊張が緩んで、酩酊(酔い)によって現在抱えている不安や問題との対峙から一時的に逃れることが出来ますので、その手軽さに甘える日々が続くと、日常生活に何らかの影響が出る事は間違いないでしょう。

アルコールのアディクションは使用する人の体質がアルコールに強いか弱いかでも決まってきます。
アルコールは肝臓で分解、代謝されますがこの代謝の産物であるアセトアルデヒド(猛毒です)を、更に分解するアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)に欠損があり分解する力が弱いと大量飲酒をしたくてもする事が出来ません。

アセトアルデヒドは顔面好調、頭痛、吐き気頻脈というフラッシング反応を引き起こします。(二日酔いのあの症状)この場合はアルコールアディクションになる事が難しいです。

白人やアフリカ系の方がこの酵素を有しているのに対して、モンゴロイドである日本人は酵素2型の完全欠損若しくは部分欠損です。

次回はアルコールによる酩酊の分類と酔いの段階についてお伝え致します。

参考文献:一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟編「精神医学と精神医療」中央法規出版 2024年

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都筑裕子

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