アルコール関連障害⑤
皆様こんばんは。
アルコールのアディクション(依存性)の詳細についてお伝えしています。
本日はアルコールの離脱症状についてです。
離脱症状とは、アルコールの身体依存が形成されるとアルコールを急激に中断した時に離脱症状が生じる状態の事を言います。
アルコールは薬理学的には精神を抑制する作用があるので、離脱する時は抑制とは逆の興奮の状態を示します。
この興奮が生じている時にアルコールを摂取すると興奮が抑えられます。
離脱の症状は大きく分けて2段階あります。
①早期離脱症状(小離脱)
・飲酒停止後2時間以内に、交感神経系の過剰興奮が生じる。
・不安焦燥と手指の振戦(アルコールの離脱症状)、自律神経症状(発汗、動悸、血圧上昇、発熱)が見られる。
・症状のピークは飲酒停止後1〜2日である。
・軽い意識障害があり、錯覚や一過性の幻視も生じる。
・この離脱症状は飲酒によってすぐ改善されるが、そのままでも数日のうちに軽快する。
・時にこの時期にけいれん発作(強直間代けいれん)が生じる。
・電解質異常や脱水などがけいれんの原因として考えられる。
②後期離脱症状(大離脱)
・飲酒停止後1日以上経過して生じる。振戦せん妄の状態である。
・3〜4日でピークを迎え1週間程度で改善する。
・手指振戦(早期離脱症状が酷くなった粗大な振戦と自律神経症状、興奮、そして意識変容が出現する。
・意識障害の類型の1つだが、意識混濁はそれほど酷くなく、表面的には会話が可能で指示に従える。
・壁や天井に、小動物や虫が蠢いていると言った幻視が見られる。この幻視は現実感があり、自分の体の上を這い上がってくる虫(幻触)を追い払おうとする。
・この時期は被暗示性が亢進しており、閉眼させて「虫が見える」と言いながら眼球を圧迫すると実際に虫が見えてくる(リーブマン現象)。
・また、しばしば慣れた職業上の仕草がみられる。(職業せん妄)
せん妄とは様々な要因により意識が混濁する事で、幻視などが見える事をいいますが、医療ではアルコール離脱似寄るせん妄は、アルコールと同じ抑制系物質であるベンゾジアゼピン系物質の静脈注射薬を点滴で投与する事で激しい離脱症状が緩和されると解釈されています。
また、脱水による栄養の低下にはビタミンB群が有効であると言われています。
ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症(主な症状が意識障害)などの出現有効だと言われています。
参考引用文献:一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟編集「精神医学と精神医療」中央法規出版2024年P84 85
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