薬物乱用の三つのタイプと日本での治療の実情について。
皆様こんばんは。
Office Assistanceは、心理カウンセリングルームですが、私の保有資格が精神保健福祉士、社会福祉士ですので、精神保健や環境調整と並行した心理カウンセリングを提供していきます。
資格の定義についてはお知らせに記載させて頂いておりますので、お時間のある時にご覧頂けると幸いです。
本日は、薬物乱用(DSM5では依存や乱用という表現を廃止し物質使用障害に統一されています)の3つのタイプについてと日本での治療の実情についてお伝えさせて頂きます。
乱用の三つのタイプ
①乱用だけの乱用者
②依存に基づく慢性中毒までには至っていない乱用者
③慢性中毒までに至った乱用者です
(中毒とは作用物質が常に体内にある事で幻覚、妄想が常態化している事をいいます)
具体的には
①使用した後で体内になくなっても、それ以上は使用せずに間隔を空けて使用が出来る程度
②使用する頻度が増加したが、中毒状態が慢性ではなく時々ある状態
③物質を途切れる事なく使用し続け常に中毒状態である
日本での治療の実情
度々マスメディアで報道されていますので、薬物事犯の法的な処罰の概要について大体のイメージがつくと思いますが、残念ながら日本では犯罪として扱われる為、起訴される事が殆どです。
ですが、先進諸国では、薬物のアディクションについては精神障害に分類されますので、医療での治療が必要となるのですが、
精神科病院で入院治療を行なっている事例が少ないのです。
精神障害で一番多い入院患者さんは統合失調症です。続いて認知症、アルコールのアディクションです。
覚醒剤使用者も入院していますがごく僅かです。
(入院患者さん約30万人に対して統合失調症54%、認知症24%、アルコール4.3パーセント、覚醒剤587人)
平成29年のデータですので少し古い数値ですが、現在もあまり変化が無いと思われます。
また、「覚醒剤取締法」には、病院で尿検査で陽性になったら医師が通報する規定はありません。(弁護士さんでも誤解されている方がいます)ですが、「麻薬及び向精神薬取締法」では、県知事への報告義務はあります。その理由は、麻薬及び向精神薬取締法は健康被害を最低限に抑えて回復し社会復帰する目的につくられた法であって、逮捕する為の法律では無いからです。
では、なぜ精神障害に分類される薬物のアディクションが、精神科医療で治療の対象になっていないのでしょうか。
その理由として幾つかの理由が挙げられますが、ひとつ目に使用者が属している環境によるその人の性格的な特徴があります。
中毒状態では、統合失調症とあまり変わらない幻覚や妄想が主たる症状となりますが、体内から物質が消えて来ると、攻撃的な人格が出現する確率が高いと言われています。その為、医療職の方々や入院患者さんとの折り合いが悪くなったり、治療の継続が難しいと判断された歴史がある為、精神科医療での治療ができなくなったという事もその理由です。
他はやはり差別と偏見に由来すると思われます。
その結果、薬物のアディクションの人はどこに行くのかというと、刑務所に行く事になります。
近年の1年間での新入所者は約2万人です。ですが、実刑になっているので初犯ではありません。
初犯だと多くの場合が執行猶予判決になりますので、社会に戻されています。ですが、治療が困難であったのでしょう。(治療が困難な理由はたくさんあります)
ですので、私が以前にお伝えした薬物使用の医療化政策か犯罪化政策かを議論するのではなく、分離して治療が出来るようになる事が望ましいですが、差別と偏見の嵐となり得る為、変革される事が難しいとは思われます。
(欧米諸国では医療での治療が行われています)
ですが、長期的に見るとやはり医療で治療し体調を整えて社会復帰し、補助的にカウンセリングを受けていくなどの取り組みが必要になってきます。
治療を行なっている精神病院もあります。
「埼玉県立精神医療センター」です。他にもありますので、更新していきます。
https://www.saitama-pho.jp/seishin-c/
参考文献:更生保護法人日本更生保護協会発行「保護司の為の薬物依存Q&A」2023年(監修和田清)
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