アルコール関連障害⑥
皆様こんばんは。
先日、アルコール関連障害の離脱症状の詳細についてお伝えさせていただいていました。
本日はアルコールのアディクション(依存症)の治療についてお伝えさせていただきます。
とにかく飲酒することをやめる(断酒)することに尽きます。自らの意思でコントロールすることが出来ない状態になることで断酒が難しくなってきます。禁酒は他者からされることですが、断酒は自らの意思で行うという点で両者に違いがみとめられます。
断酒を継続していくには本人の強い意志が不可欠となってきます。アルコールのアディクション(依存症)の方は飲酒に関連する問題を否認しがちです。
「新アルコール・薬物使用障害の診断と治療ガイドラインに基づいたアルコール依存症の治療診断の手引き」(2018年)では、❶入院治療が必要、❷飲酒に伴って生じる問題が重篤で社会・家庭生活が困難、❸生命に危機がある、❹離脱症状が生じている、場合にはあくまでも断酒が必要だという考え方がなされています。ですが、①軽症の依存症で合併症がない、②断酒に同意しない、場合に限り飲酒量低減を現実的な目標とします。
飲酒することの短期的なメリットは「現実と向き合うことを避けるため」なのですが、アルコールのアディクション(依存症)から脱却することは、アルコールに頼らなくても現実と向き合う覚悟が出来る素晴らしい機会でもあります。生活体験を通して、自身を客観視し再び素晴らしい社会性を獲得していくためには、一人で断酒を決意するほかに、家族に頼る、友人に協力してもらう、個人カウンセリングを受けるなど様々な方法があります。ですが、アルコール関連の障害については、アルコールが麻薬などと違いどこでも売っており購入することが出来ること、飲むだけでは犯罪にならないことなど、アルコールが身近な存在であるという大きな問題もあります。
ですので、断酒会やAA(アルコールアノニマス)などの自助グループや集団療法などへの参加も検討し、並行しながら行っていくと更に効果があり、断酒や禁酒に対する価値観の変容が生じる事でしょう。
次回は、自助グループなどについてお伝えしていきます。
参考文献:一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟編集「精神医学と精神医療」中央法規出版2024年
Office Assistance
都筑裕子