ブログ

被害者なき犯罪の機能について

被害者なき犯罪の機能について

「機能と逆機能」→社会システムにおいてある仕組みがもたらすプラスとマイナスの影響を表す社会学の概念です。

エドウィン•Mシャーという社会学者は「被害者なき犯罪」と言う概念を提唱した人物です。
被害者なき犯罪とは、通常の犯罪概念とは違い被害者がいない犯罪、被害者と加害者が同一である犯罪の事を指します。

被害者なき犯罪の代表的なものに、中絶、同性愛的行為、ドラッグの常用があります。
何故シャーがこのような概念を提唱したのかと言うと、ある行動を「逸脱」と定義する事が法律等に従う者にとって、積極的な機能を果たしており、「その事によって集団の結束力が高められ、法律等を遵守する個人の間の集団成員としての意識が強化される」ためであると説明しています。

したがって、これらの行為を犯罪とするのは単に道徳を正当化するために立案されているに過ぎないと説明しています。

この説明はとても良い分かりやすいのですが、日本で理解される事はないだろうと思います。
以下が、道徳の正当化についての説明です。

被害者なき犯罪を定義する法律は、そもそもの性質からして「執行困難」である。何故ならそれらの犯罪を構成する行為やその行為に関係する商品は、法的には禁止されてはいるが受容がある。
したがって自発的な交換(取引)が発生する。にもかかわらずそのような法律とそれに基づく政策が維持されているのが現状である。

シャーは、何故このような機能が生じるのか、このような政策が社会に与える影響を分析研究していました。

その結果、需要と供給という要素が存在しているがために不平を漏らす被害者がいないため執行が失敗している事、その執行を補うために問題のある捜査方法が用いられている事やそのコスト(捜査費用やその他刑事罰に投入される税金)が高くなってしまう事、結果的には常用者達の下位文化の発達を促進し、その下位文化の発達により逸脱者らしい振る舞い(二時的逸脱→悪ぶるなど)が生じていると述べています。

これらの無駄な行為を解決することを目的として、シャーは合理的プログラムである医療化政策を提案しており、日本以外の福祉先進国(スイス、カナダ、ポルトガルなどでは実際に行われています。

「依存性は病気であるため本人が望むのであれば、ある程度の制限を設けて使用を許可する」のです。
この結果本人は依存性を克服できないかも知れませんが、安全な環境で清潔に薬物の使用が出来る、ドラッグを手に入れる為に犯罪を犯す事がなくなるというメリットがあります。

ですが、この医療化政策は多くの反対が寄せられています。その理由としては、「公衆が常用者に対して懲罰的態度を強く持っている事」が一番根強いのだと思います。(法律を守る成員の結束が強化され過ぎてしまっている)

日本でも、麻薬使用は医療では「依存性」に分類されますので医師が使用者が受診に来ても警察に通報する義務はありません。ですので、報道されている部分だけを見ると全て犯罪として誤解されているとは思いますが、自発的に受診されて治療に専念され立派に社会復帰されている方も多くいらっしゃると思います。

いずれにせよ、非難する、偏見持つ、理解しようと努めない、自分の問題でもないのに懲罰的態度を変えない人々は自分に毒をもっているのと変わらずご自身の精神衛生を破壊していると捉えてもいいのではと感じます。

(執行の失敗についての補足→そもそもドラッグの需要と供給を法律で完全に無くす事が出来ていないので、法律で取り締まる事が代替えの手段として存在している)
Office Assistance
都筑裕子

参考文献:佐藤哲彦著「覚醒剤の社会史・ドラッグディスコース統治技術」東信堂 2006年

CONTACT

一歩踏み出したいと
思ったそのときに

「少しだけ話してみたい」「まずは聞いてみたい」
そんな気持ちのときも、どうぞお気軽にご連絡ください。
ご相談内容やご質問は、フォーム・お電話にて受け付けています。

080-7133-5558

お問い合わせ

ご予約はこちら
TOP